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記念すべき第一実績として、THE PICNIC APARTMENTの1階ガレージを大々的にリノベーション、2016年7月7日に誕生した『CUPS coffee and cupcakes(以下CUPS)』。

運営するのは、約15年間ストリートダンスを極める女性、西山 麻紀(にしやま まき)さん。「感動の連鎖を届けたい」という想いから、ダンスを生涯のベストパートナーとしつつ、30歳を迎える今、“想いを実現する場所”を手掛けようと、CUPSを開きました。

前編では、そんな麻紀さんのライフスタイル(人生観)に焦点を当てましたが、今回後編ではどのようにこの場がつくられていったのか?というリノベーション(改装)に焦点を当てて、この場所の変化を紹介していきます。

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現在のTHE PICNIC APARTMENT(1階CUPS)。右奥に並ぶのはシェアハウスのTHE PICNIC HOUSE。

CUPS coffee and cupcakesとは

「まだ行ったことがない」という人に向けて、CUPSの現状から紹介しましょう。前編で綴ったように、目でも舌でも味わえるカップケーキとコーヒーも魅力的な特徴ですが、フォトジェニックかつ思わず長居をしてしまう心地良い空間デザインもCUPSの魅力です。

麻紀さんが仲間たちと一緒にトコトン追求したこだわりが詰まった店づくり。特に印象的なのは、壁一面に大きく開かれた窓。外からも中からも互いの様子がよくわかることで、地域と繋がりやすい場所を、という気持ちが込められています。

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印象的な大きな窓。友達同士や夫婦、電源も多いため仕事の打ち合わせなど、様々な人々が訪れます。

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こちらはゆったりソファー席。小さな子供も座りやすいので、特に子連れママたちに人気のスペースです。

また、ストリートダンスの発祥地かつ、カップケーキづくりに目覚めた思い出の地・アメリカの文化も、はしばしに取り入れられています。「特に、事前視察で訪れたポートランドの町には、強い影響を受けました。今も時々参考にしているんです。」と麻紀さん。

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壁には、ポートランドの町の構成を示したイラストと、訪れる度に集めたステッカーが飾られています。

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外のテラス席からは、THE PICNICの特徴である緑豊かなガーデンを眺めることができます。

かつてのガレージから、今に至るまで

これほど魅力的な空間が、以前は一部倉庫化したガレージだったと聞き、その姿を想像することは難しいかもしれませんね。それも大昔ではなく、ほんの数ヶ月前のことです。

2016年1月、今後の着工に向け、THE PICNICに携わるメンバーが現場に集合しました。その時、ここはまだガレージでした。ひんやりとしたコンクリートの空間。端には、ホコリやカビをまといながら、行く当てもなく横たわる古い椅子や扉。入口には灰色のシャッターが下り、壁の石垣は木の板に覆われていました。

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この日、板を剥がして石垣を発見。今ではライトアップされ、CUPSの魅力の一つとなっています。

現場の設計デザインを担当したのは「おおはしぐみ」。大橋 武志(おおはし たけし)さんと道上 佳世子(みちうえ かよこ)さんから成る、31歳の夫婦ユニットです。麻紀さんの頭の中にむくむくと湧く空間のイメージを、おおはしぐみが丁寧に紐解き、どんどん具体化。思い描く空間をともに実現していきました。

「年齢が近く、常に何かに挑戦しているおおはしぐみの二人だからこそ、今回の設計デザインをぜひお願いしたいと思ったんです。」と麻紀さんは、後に語ります。

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1月の現場集合で、図面を片手に皆で輪になって設計の打ち合わせ。写真中央がおおはしぐみの二人。

その日以降、麻紀さんは出勤前のわずかな時間に現場に立ち寄っては、左官屋や水道屋など職人さんたちと顔を合わせて、イメージを共有して深める毎日を過ごしていきました。6月中旬には、経験を積むために事前に運営していた仮店舗も閉め、本格的に現場入り!

職人さんたち・いとこの大工・おおはしぐみ以外にも、ダンス仲間や友人知人など、様々な人々が毎日現場にやってきました。“お手伝い”ではなく“一緒につくる”が合言葉。DIYに慣れていない人もプロに教わりながら、一丸となって空間をつくりあげていきました。

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夏が近づく熱い時期。汗とホコリにまみれながら、皆で楽しく作業を進行しました。(写真:麻紀さん提供)

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食事を皆でとるのは大切。関係性が深まり、より良い空間づくりに繋がるそう。(写真:麻紀さん提供)

こうして、物件に出逢って1年、着工から半年、駆け抜けるようなDIYの1ヶ月半が過ぎ、晴れた七夕の日に無事CUPSが誕生しました。

ダンスでも、場づくりでも、麻紀さんがずっと大切にしてきたのは、チームワークです。自分の本気さを真摯に伝え続け、周囲さえ本気にすること。そして、顔を合わせたコミュニケーションの時間をできるだけ多くつくり、想いの相互理解を深め、高め合うこと。

「作業は本当に大変だったけど、みんな本気のCUPSづくりはとても楽しかった!」と、麻紀さんは振り返ります。仲間で一丸となることで、一人では出逢えなかったステージに辿り着くことができる。そんな感動の連鎖を、彼女自身が体感しているからこそ、また別の誰かへと想いの伝播ができるのでしょう。

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無事に迎えたオープン日。現場をつくりあげてきた人たちと完成を喜びました。(写真:麻紀さん提供)

さて、そんな麻紀さんの目標、実はここで完結ではありません。これまでダンス仲間と大切にしてきた「winsome D” crew」というチームワークの合言葉。この“winsome”を社名に掲げ、一つの会社をつくるという次なる夢があるのです。

そのオフィスがTHE PICNICの2階に入る日も、そう遠くはないかもしれませんね。
※「winsome」とは、英語で“魅力的な/愛嬌のある”という意味。

(文章/撮影:前田有佳利

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